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よく芝居なり映画なりで、役が軽すぎるとか小さすぎるとかいうので、役者がぶつくさ云う話を聞く。勿論どんな人でも、自分の演ずる役が、脚本の中で重大 な役であることは嬉しいでしょう。他の人が重要な役をつとめて、そうして自分とそれ程才能も違わないと思うのに、自分の方が小さな、いわゆるつまらない役 をやるということは、その俳優にとっては幾らか自尊心を傷けられるように感じられるかも知れない。その不満を公然表明する。そこで役が揉めるということに なる。これは恐らく芝居始って以来、興行者、或は演出家が、この俳優の役もめには手を焼いているのであります。一般から云っても、今日まで少しもこの風習 は改まっていない。ただ新劇だけが殆どその風習を改めました。これもただ、そういうことをしてはならないのだという自戒で、自分を戒めて悶着を起さないだ けで、内心はどうかわかりません。まだそこまで保証はできません。が、とにかくこの種の悶着は新劇ではなくなりました。経験も古く、技倆も上だというよう な俳優が、時には脇役を演じ、或は端役に廻る。それが新劇では一応無理なく納っています。所謂スターシステムの弊害を認め、適材適所の原則が配役の根本で あることを認めたからです。この役の軽重という問題を、ひとつなんとかして、俳優諸君が自分の納得の行く理窟と感情とで解決しておかなければならない。上尾 美容室
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