海に千年河に千年

 そんな時、夫がすこし不機嫌な顔をみせでもすると、舅は、けろりとして、――こんな憎まれ口を利くのも、お前たち二人のためだ。夫婦の間で、お互に不平 を並べ合つたら、もうおしまひだ。親つていふものは、息子が嫁をもらへば、二人分の世話を焼かにやならんのだ。自分の経験で、二人がどうすれば一番うまく いくか、それがわかつてゐればこそ、間に立つて、誰よりも気を揉むのだ。それがお前たちには、まだわかる筈はない。かう言つて、うまくはぐらかしてしま ふ。  なるほど、舅の言ふこともわからぬではないが、妻としては、それを誰からも言はれずに、自分で発見し、自分で工夫し、自分で成長していきたいのだ。夫だ けが、その努力を、そばから助けてくれるひとではないか。  彼女はかう思ふ。それに第一、舅の小言は、自分で言ふほどおほらかな気持からではなく、へんに感情的になつたり、不必要にひとを侮辱したりするのをみて も、決して、それを恩に着るべき性質のものではない。なによりも情けないのは、その小言が度重なるにつれて、だんだん、こつちが自信を失ひさうになること である。おそろしいことだけれども、こればかりは、どうしてもしかたがない。 飛蚊症治し方ガイド

Ven 30 mai 2014 Aucun commentaire