海に千年河に千年

やれ、イビキをかくな。やれ、字がまづいから手習ひをしろ。やれ目下のものに敬語を使ふな。やれ、交際費を予算以内で使へ。やれ、子供は二年たたなければ 生みたくない。やれ、立膝をするな。やれ、鼻毛を切れ。それも、毎日、立てつゞけに、あれをしろ、これをするな。まつたく、やりきれたもんぢやない。すこ し酒を飲んで帰つて来ると、どこで飲んだとくる。はじめは、うつかり、ほんとのことをいつた。どうもそれがまづいらしい。芸者の来る席といふのが気にくは んのだ。おれも、さうさう女房の気に入るやうなことばかりしてゐられない。時には、勘にさはつて、やり返す。一日や二日、口を利かないことはざらにあつ た。それでも、三年目にやつと子供ができた。その子供は五つの時死んだ。世間に、女房らしい女房はいくらだつてあるのに、うちの女房に限つて、どうしてか う女房つていふ気がしないのか、おれはつくづく考へた。それや、なんでも、よくやるにはやる。女のすることは、ひと通り心得てゐて、もう文句のいひやうは ない。それで、さて、こゝが肝腎と思ふところで、ひよいと、うちの神さんでなくなつちまうんだ。女房甲斐がないといつて、あれくらゐ亭主に気を張らせる女 が、そもそも、亭主なんぞ持つのが間違ひだ、と、おれはなんべんもいつた。間違ひは、こつちでなくそつちだらうと、あべこべに喰つてかゝるから、おれは、 それもさうかと思つて、あとはなんにもいはないことにした。板橋区大山の美容室

Mer 30 avr 2014 Aucun commentaire